渡島総合振興局ホームページに紹介して頂いています。
渡島振興局 産学官連携ウェブサイトで、福田農園の王様しいたけを取り上げて頂きました。
http://www.oshima.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/3gk/data49a.htm から転載。
日本一のしいたけに情熱を注いで – 有限会社 福田農園
王様しいたけ
北海道亀田郡七飯町の「有限会社福田農園」。
「大きくて規格外、売れない、流通にものせらない」、
そう言われ続けた大きなしいたけに情熱を注ぎ、
夢をかなえるために日夜研究し、栽培を続けてきた。
そんな、売れるはずがないと言われ続けた大きなしいたけが、今や「王様しいたけ」というネーミングで、一般客や高級レストランのシェフなどから注文が殺到し、有名百貨店などで飛ぶように売れているという。ステーキのように食べられるしいたけを
もともとは函館市内で、米や芋、野菜を栽培する専業農家であった福田昭利氏(社長の父で現会長)は、コメの減反政策を受け、1972年からきのこ栽培を始めた。当時は、様々な種類のきのこを生産していたが、きのこ栽培への大手企業の参入などにより、単価が下落、収支が悪化したため、新たな展開が必要となる。
眠れぬ夜もあるほど思案し続けて、たどりついたのが「ステーキのようにジューシーで食べ応えがあり、カロリーを気にせずに食べられる」肉厚で大きなしいたけ。食事療法が必要で、あまり肉や魚を食べることができない方やお年寄り、介護の必要な方、また、ベジタリアンにとって、肉の代わりとなるような大きなしいたけの開発を思いついた。
そんな大きなしいたけ栽培に期待する父昭利氏の想いが、将仁現社長の胸にもひしひしと伝わり、いつしか2人の共通の夢へと変わっていた。大きなしいたけは売れない
肉厚で大きなしいたけの栽培は一朝一夕にできるものではなく、収穫できるようになるまでに5,6年の年月が流れ、しかも採れる量も少なかった。そして、やっとの思いで収穫したその少量のしいたけにさえ、市場の評価は厳しかった。「大きすぎて規格はずれ」「売れない」。そんなレッテルが貼られ、流通にさえのらなかった。その当時の状況を振り返り、福田氏は一言「悔しかった」と。
うまいから絶対売れる
市場からの厳しい評価。売れない大きなしいたけ。そのような厳しい状況下でも、福田氏親子には一つの信念があった。「うまいから絶対売れる」。自分の子を慈しむ様な気持ちで栽培するしいたけの中でも、肉厚で大きなしいたけは、栽培のプロとして100%の自信を持って「これがうまい」と勧められる一品であった。「だから、挫けずに続けられた」と福田氏は語る。
転機、きのこ三冠受賞
そんな売れない大きなしいたけに大きな転機が訪れる。平成21年1月全国サンマッシュ生産協議会主催の品評会で、北海道の生産者としては初めてとなる「ゴールデンサンマッシュ賞」という最高の賞を受賞した。続けて9月に北海道生産振興会主催の北海道しいたけ品評会で「林野庁長官賞」、10月に道産きのこ優良生産者表彰で「北海道知事賞」を受賞するなど、北海道におけるきのこ三冠を達成した。市場から「売れない」というレッテルを貼られつつも、歯を食いしばり、試行錯誤を重ね、「種にこだわり」「水にこだわり(平成14年に天然水を求めて函館市から七飯町に拠点を移転」「菌床にこだわり(福田氏は菌床を『ご飯』という。)」「温度管理にこだわり」「しいたけのことを考え続けた」約15年もの年月が報われ、福田農園が国内においても最高ともいえる栽培技術を持つことが認められた瞬間でもあった。
王様しいたけ」誕生
そしてこれからきのこ生産の最高峰と言える賞を受賞し、栽培技術を認められた福田氏。それでも大きなしいたけは「大きすぎる規格外のしいたけ」というレッテルを外されず、「100gあたり120円程度の値段にしかならなかった」と福田氏は語る。「日本一の賞をとったからといって、必ずしも市場から適切な評価はされない」ということを痛感し、「どうすれば評価してもらえるのか」わからなくなった。
そんな福田氏にとって一筋の光明となったのが、管内製品のブランド化に取り組む北海道渡島総合振興局との協働。管内ブランドづくり事業の一環として行われた有名百貨店や一流シェフとのマッチング事業を通じ、「大きすぎるしいたけ」という評価は、「とても肉厚でジューシーなしいたけ」という高評価に変わった。さらに「特選肉厚しいたけ」というありきたりな名前を、日本一のしいたけにふさわしい「王様しいたけ」という個性的な名前に変え、ロゴや箱のデザインを地元デザイナーにまかせ、専用の化粧箱を作り、「王様しいたけ」は誕生した。それは、福田氏と北海道渡島総合振興局、七飯町、地元デザイナーなどが協働し、大切にブランド化を図った努力が実を結んだ瞬間であった。そして「王様しいたけ」は100gあたり120円の規格外品から高級品へと変貌を遂げた。「王様しいたけ」は、今や有名百貨店や高級レストラン、ホテルから求められ、農園のHPでも、全国からの注文が相次いでいる。福田氏は「正直、想像を絶する人気で、ただ驚くばかり」と語りつつ、次の展開を模索する。「王様しいたけ」は、約40年間のきのこ栽培のノウハウを持つ福田農園でさえ、2~3割収穫するのがやっと。「王様しいたけ」の発生率を高めるための努力が続けられるとともに、農商工連携ファンド等を活用したタレやソース、ハンバーグなどの製品の開発・商品化を進めている。 「もっと大きくて肉厚なしいたけを作って、皆さんにおいしいと言ってもらいたい。そして、七飯町の、北海道の統一のブランドとして育てていきたい。」父から子へ、親子2代にわたり、しいたけにかける夢と情熱には、まだまだ目が離せなさそうである。